一橋倫政

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一橋倫政直前予想問題 解答例

(1)カントは、道徳の判断基準を動機に求める動機主義の立場をとり、行為の結果よりも、動機となる善意志を無条件に善いものと認めた。善意志とは、義務に従いつねに善をなそうとする意志である。一方で、ヘーゲルは、人間は法と道徳が統一された人倫の中で生きる社会的存在であるとする立場からカントを批判し、現実に人間が直面する具体的な社会的場面、行為の社会的影響を考慮せずに、その善悪は問題にできないと考えた。

(2)ヘーゲルによれば、人倫は、愛情によって結ばれた家族から出発し、欲望の体系として人倫の喪失態に陥った市民社会を経て、人倫の完成態として国家へと至る。欲望の体系としての市民社会では、家族から独立し自由で平等となった個人が自己の欲望を満たすため利益を追求する。これに対して、市民社会で失われた統一を回復する人倫の完成態としての国家では、家族の共同性と市民社会の個人の独立が止揚される。

(1)明治憲法下では、天皇が主権者であったが日本国憲法下では国民主権が採用され、主権者たる国民を直接代表する国会に民主的正統性による高い地位が認められる。「国権の最高機関」とは、その民主的基盤をもとにした、高い政治的権威と国政の中心的機関であることを強調する政治的な美称である。よって、「最高機関」の文言から国会の特別の地位や機能等の法的意味を導き出すことはできない。

(2)「立法」とは、法規という特定の内容の法規範を定立する作用である実質的意味の立法を意味する。また、「唯一」とは、国会以外の機関による立法を認めない国会中心立法の原則、そして、立法は国会以外の機関の参与を必要としないで成立するという国会単独立法の原則という2つの原則を意味する。前者には、両議院の規則制定権や最高裁の規則制定権という憲法上の例外が存在する。

 

(1)貨幣の3つの機能とは、価値尺度としての機能、交換手段としての機能、価値貯蔵手段としての機能である。貨幣は一般的に、利用者が増えれば増えるほど、その利便性が増すというネットワーク外部性を持つ。そのため、通貨としては交換手段としての機能が重要となる。仮想通貨を考えると、市場の流動性が小さく、一般受容性に欠けるため、交換手段としての機能が十分に働いているとはいえない。また、仮想通貨の価値の変動性は国際通貨の変化率と比較しても数倍大きく、価値貯蔵手段としての機能も劣っている。仮想通貨は、価値貯蔵手段、特に交換手段としての機能の点で既存の通貨に非常に劣るため、経済的な貨幣とはいえない。

(2) ア : 外部性 イ : 外部不経済 ウ : 外部経済 エ : ピグー オ : コース