一橋倫政

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一橋大学の倫理政経廃止に思うこと

令和4年度入試(再来年の入試)より、「倫理・政治・経済」及び「ビジネス基礎」が社会科目の選択から廃止されることが発表されました。(→http://www.hit-u.ac.jp/admission/application/pdf/R3_kamoku.pdf)

廃止の理由について考えられること

そもそも選択者数が少ない

倫政が国公立の二次試験で使える大学はごく少数であり、ビジネス基礎は一橋特有の科目です。つまり選択者数が少ないため、問題を作る手間、採点する手間がかかる、という理由です。
しかし、同様に選択者数が少ない地理は廃止されません。そこで、考えられるのは次の理由です。

大学側が要求するレベルの答案がない

つまり、受験生のレベルが低いため、作問者側が意図したような答案が皆無であるということです。これは決して受験生が悪いのではなく、高校教育での「政経」という科目、それ自体に欠陥があるためではないかと考えられます。過去問をみていると分かりますが(特に政経分野)、およそ大学受験科目の「政経」では対処できないような問題が多くあります。これは、大学入試の受験科目である「政経」と、大学における「経済学」「政治学」「国際政治史」etc… の間に大きな乖離があるためです。つまり、高校教師や予備校の公民科講師の見ているものと、大学教育が見ているものは全くの別物、ということになります。そのため、市販されている参考書、過去問題集の解答解説にもヘンなことを書いていたり、酷いものは言葉の定義すら誤っているものも数多く見られます。

受験科目から「政経」を廃止する動き

このような「政経」廃止の動きは、他にも見られます。早稲田大学の受験科目でも「政経」は存在しますが、来年度入試より、人間科学部、そして社会科学部で使用することが出来なくなりました。

政経」は改革が必要なのではないか

これまで述べたように、「政経」は大学の学問と大きく性質が異なります。大学受験科目としての「政経」は、専門用語についての詳しい説明のないまま天下り的に暗記するだけの科目になっていると思います。例えば、市場における需給曲線に関して、「供給曲線が何故右上がりになっているのか」を説明できる受験生、そして教師は現実にほとんどいません。このような「政経」と大学の学問の乖離が廃止の動きに少なからず影響を与えているのではないかと思います。今必要なのは、このような溝を埋め、うまく大学の学問に接続できるよう改革することである、と考えます。